ピンボケの桜
最寄り駅から我が家に帰る途中、特に有名じゃない桜並木がある。
深夜なのに、父親がわざわざそこで止まってくれた。
車から降りると、二年ぶりの寒さが体に沁みる。
でも、その「寒さ」が心地いい。
タイでの二年間を思い出しながら、美味しい故郷の空気を肺一杯吸う。
そして、ゆっくりと吐きながら桜に近づく。
父親が言った。
「一番綺麗な桜は、もう散ってしまったけどね」
僕は答えた。
「品種なんてどうでもいいよ。とにかく間に合って良かった」
父親が、車のライトで桜を照らしてくれる。
僕は安物のデジカメで、桜を撮る。
何度撮ってもピンボケ。
今日は、それでもいいや。
今日は、最高の気分だから。
無事、日本に帰国しました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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